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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
あの彼は指先一本で、彼女をいとも簡単に自分から奪ってしまう。
ただ黙っているだけでは、すぐに攫らわれてしまう。
彼女が彼を好きだと言わないうちに、なんとか振り向いて欲しい。
自分でも強引かなと思うくらい、必死になるしかなかった。
自分にはせめて手を握るくらいしか、とてもじゃないが彼女に触れられない。
それでもどれくらい勇気を出したかしれなかった。
けれどそれもあっさり拒絶されてしまい-結局、どうにかふたりで出かける約束をした程度。
少し前に比べたら前進はしているが、こんな程度じゃまだまだなのも分かっている。
大樹は唇を噛んだ。
「大丈夫、伊東君?」
急に黙りこくってしまった大樹に、泉夏は心配そうな視線を送る。
やっと何度か握る事が出来たその手に、再び触れたい衝動に駆られる。
今日もやっぱり、撥ねつけられてしまう?
自制心で、どうにか堪(こら)える。
大樹は泉夏を熱を含んだ双眸で見つめた。
「ライン楽しみに待ってる。絶対だよ、流川」
ただ黙っているだけでは、すぐに攫らわれてしまう。
彼女が彼を好きだと言わないうちに、なんとか振り向いて欲しい。
自分でも強引かなと思うくらい、必死になるしかなかった。
自分にはせめて手を握るくらいしか、とてもじゃないが彼女に触れられない。
それでもどれくらい勇気を出したかしれなかった。
けれどそれもあっさり拒絶されてしまい-結局、どうにかふたりで出かける約束をした程度。
少し前に比べたら前進はしているが、こんな程度じゃまだまだなのも分かっている。
大樹は唇を噛んだ。
「大丈夫、伊東君?」
急に黙りこくってしまった大樹に、泉夏は心配そうな視線を送る。
やっと何度か握る事が出来たその手に、再び触れたい衝動に駆られる。
今日もやっぱり、撥ねつけられてしまう?
自制心で、どうにか堪(こら)える。
大樹は泉夏を熱を含んだ双眸で見つめた。
「ライン楽しみに待ってる。絶対だよ、流川」

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