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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
「さっき窓から偶然お前を見つけて良かったな。新年早々、すげー面白い話が聞けそう」
「…他人の不幸をいつも愉快そうにしないで欲しい」
思わず呟いてしまった一言を、龍貴は聞き逃さない。
不幸?-彼の整った顔が、更に冷たく、歪む。
「他人(ひと)の不幸話、大好物」
「…サド!」
上目使いで睨んでやる。
「何を今更」
味のなくなったガムを包み紙に捨て、龍貴は肩を揺らした。
リビングのテーブルに置かれていた煙草の箱から一本取り出し、火を点けようとしたところ、キッチンから百合子の窘める声が届いた。
「ちょっと!居間で煙草は禁止!壁紙何度張り替えればいいの」
普段の彼女からはちょっと想像できない声音に、泉夏は思わずびくつく。
「吸うなら自分の部屋で吸いなさい。私、まだ死にたくないんだから」
苛立ちからか、包丁の音が大きく、早くなる。
怖い-ちょっと引き攣るが、しかしごもっともとも思う。
「…他人の不幸をいつも愉快そうにしないで欲しい」
思わず呟いてしまった一言を、龍貴は聞き逃さない。
不幸?-彼の整った顔が、更に冷たく、歪む。
「他人(ひと)の不幸話、大好物」
「…サド!」
上目使いで睨んでやる。
「何を今更」
味のなくなったガムを包み紙に捨て、龍貴は肩を揺らした。
リビングのテーブルに置かれていた煙草の箱から一本取り出し、火を点けようとしたところ、キッチンから百合子の窘める声が届いた。
「ちょっと!居間で煙草は禁止!壁紙何度張り替えればいいの」
普段の彼女からはちょっと想像できない声音に、泉夏は思わずびくつく。
「吸うなら自分の部屋で吸いなさい。私、まだ死にたくないんだから」
苛立ちからか、包丁の音が大きく、早くなる。
怖い-ちょっと引き攣るが、しかしごもっともとも思う。

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