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桜の季節が巡っても
第8章 忘却の冬
される直前。
拒もうと思えば-僅かとは言え、拒否する時間はあったと思う。
まだ早過ぎるよ-身体を引こうとし、脳裏にもう一つの考えが過った。
したら、変わる?
したら、好きになる?
これを切っかけに?
先生を、忘れられる?
もう二年近くも私の心を占領し続けている、あのひとを。
忘れさせてくれる?
もう、苦しまなくなる?
賭けてみる?
刹那、泉夏の思いは決まった。
ふたりの様々な思惑を重ねた、接吻。
嫌だとも、良かったとも、感じなかった。
好きにはなってない。
でも嫌いにもなってない。
今までと何も変わらない-少なくとも、泉夏の中では。
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