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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
鼻の奥がつんと痛くなる。
大声で再び泣き出さないうちに鞄を取って来て、今日はもう帰ろう-。
隠れていた桜の幹からおずおずと身体を現し、なるべく表情を悟られぬよう俯き加減で彼の横を通り過ぎる。
明日-去り際。
僅かに垣間見えた泉夏の横顔を、秀王が呼び止めた。
思わず、ストップしてしまう足。
「明日…開館から閉館時間まで図書館にいる。明日少しでも時間があって。五分でもいいから話をしてやってもいいと、もしも気が変わってくれたとしたら。…来て欲しい」
-ずっと、待ってる。
秀王は、弱々しく微笑んだ。
『待ってる』だなんて。
『ずっと待ってる』だなんて-そんな事。
まるで待ち合わせをする恋人同士かのような、そんな台詞。
私を酔わせるその声で、もう惑わさないで。
泉夏は振り切るように無言で、今度こそその場を去った。



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