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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
「でも、それでもいい。来てくれるなら。それでいい、来てくれた」
自分だけに与えられた、蕩けてしまいそうな微笑み。
どきどきが、開始する。
逢えたと思ったら、すぐにお別れなのに。
分かっているのに、やっぱり来てしまった。
どんな理由でそう願っているのかはまるで分からないけれど。
愛しいあなたが来て欲しいと言うのなら。
愛しいあなたが待っててくれると言うのなら。
私はどんな事をしてでも、あなたの元に-。
極上の笑みにすっかり魅了されてた泉夏は、閉館を告げる図書館職員の声にようやく我に返った。



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