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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
「…ごめん」
明らかに自分から離れようとした泉夏に内心溜め息を吐(つ)きながら、秀王は謝罪を口にした。
意味が分からず、泉夏は急いで彼を見た。
「少し…近づき過ぎた」
微かに笑い、数歩下がられた。
その笑顔に胸がきつく締めつけられる。
違う-咄嗟に言いたくなる。
近い距離が嫌だなんて。
そんな風に思うなんて。
出逢って殆どを遠く離れて過ごしてきて、それをずっと淋しく思ってきた。
近く。
近く、いて欲しい。
もっと。
もっと、側にいて欲しい。
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