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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
駅が、どんどん近くなってる。
そんなの分かりきってるのにやっぱり、辛い。
あなたはどう思ってるの。
少しは淋(さび)しいとか思ってくれてる?
隣りを歩く彼をそっと見てみるが-いつでも落ち着いたその横顔からは、感情は上手く読み取れない。
視線に気付いた彼が、こちらを向いた。
こっそり確認したつもりなのに。
講義が終わった後の、質問タイム。
謝らなきゃいけない-本当の事を言うと、あなたの話はあまり真面目に聞いてはいなかった。
ごめんね、先生-ほんとは僅かの間でいいからあなたを独占する、その口実。
よそ見をして窘められた事もあった。
気付いて、それでも知らないふりをしてくれる事も。
あなたは私がちょっとでも見つめると、どうしてすぐに気づいてしまうの-。
泉夏が気まずさに顔を背けようとするより先に、秀王は口元を綻ばせた。
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