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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
「それ以外では、もう日本に来る事はない思う。図書館にも…もう行かない。だから一年に一回、この季節にだけ帰って来る事を許してもらえたら-」
対向車のライトが、ふたりを照らす。
俯き、なんだか様子のおかしい泉夏の姿に、秀王は気付く。
恐る恐る窺っていると、やがて彼女は顔を上げた。
「…っ」
瞬間。
秀王は息を呑む。
「ごめんなさい。私、知らなくて。あんな酷い言い方…ごめんなさい。先生…ごめんなさい-」
肩を震わせ。
唇を震わせ。
涙で濡れた瞳で自分を見上げる泉夏の姿に、激しく動揺する。
秀王の胸を、何かが一瞬で駆け抜けた。
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