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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
日本を離れ。
異国の地でいつしか日々、想っていたのは。
やっと日本を発ち、ようやく自由になれたはずなのに。
離れた途端、毎日考えずにいられなかったのは。
まさに今この時と同じように、泣かせたまま別れた-。
「泣く必要なんて全然ない」
秀王は努めて冷静に告げた。
「何故泣く必要が?俺はなんとも思ってない。酷くもなんともない。何度も言うけど、俺の言い方が悪かった。こちらこそ済まなかった。今日は…今日も、やっぱり謝る事ばかりだ。また…傷つけてしまった。やっぱり泣かせてしまった。…だめだな。あの夏の日から、俺はちっとも変わっていない」
泣かせたいなんて。
そんなの全然思っていない。
出来る事なら-笑って欲しい。
どうしたら彼女が笑ってくれるかは-情けない事に、分からないけれど。
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