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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
「いや、無理だな。ニコチン摂取しないと、仕事が全然はかどらない。…まあ、幸い自室が与えられてるから、一人こっそり吸いながらパソコン叩いてるけどな」
喉を鳴らす龍貴の姿に、泉夏は眩暈を覚える。
これが健康器具を販売する、企業グループの社長の実態だとは-不健全極まりない。
それに-泉夏はまじまじと、隣りの彼を見る。
「…ほんとにその格好で仕事に行ってるんだよね?」
「なに、今更。何度も見てるじゃん、仕事仕様」
今日は休日だからジーンズにTシャツ姿だが、出勤時はそれがスーツに変わるくらいだ。
確かに昔から知ってはいるけれど。
「いや、そうだけど…美容師とかデザイナーなら分かるけど、堅い企業の社長さんがその格好って普通あり得ないよね。書類選考の時点で応募書類即返却だよね、ふざけてるよね」
「あ、うちの会社、そういう人を見た目で判断して採用しないから。実力第一主義。仕事が出来れば極端な話、格好はどうでもいい。親父の頃に比べたら、随分こういう奴は増えてるよ。…まあ、その筆頭は俺だけど」
最高に愉快そうに、龍貴は肩を揺らした。
喉を鳴らす龍貴の姿に、泉夏は眩暈を覚える。
これが健康器具を販売する、企業グループの社長の実態だとは-不健全極まりない。
それに-泉夏はまじまじと、隣りの彼を見る。
「…ほんとにその格好で仕事に行ってるんだよね?」
「なに、今更。何度も見てるじゃん、仕事仕様」
今日は休日だからジーンズにTシャツ姿だが、出勤時はそれがスーツに変わるくらいだ。
確かに昔から知ってはいるけれど。
「いや、そうだけど…美容師とかデザイナーなら分かるけど、堅い企業の社長さんがその格好って普通あり得ないよね。書類選考の時点で応募書類即返却だよね、ふざけてるよね」
「あ、うちの会社、そういう人を見た目で判断して採用しないから。実力第一主義。仕事が出来れば極端な話、格好はどうでもいい。親父の頃に比べたら、随分こういう奴は増えてるよ。…まあ、その筆頭は俺だけど」
最高に愉快そうに、龍貴は肩を揺らした。

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