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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
「…してる」
「…」
「また泣かせてしまった」
「…泣かなかったら?」
「…」
「泣いていなかったら?」
それでも後悔-した?
吹き荒れる不安の中。
縋る思いで、泉夏は彼の次の言葉を待つ。
もしも-少しの沈黙を置いて、秀王は迷いながらも口を開く。
言っても-いい?
「…もしも、泣かせずに済んでいたのなら」
-そしたら、後悔はしてなかった。
秀王は彼女を見据え、はっきりと言い切った。
喜びに胸を震わせながら、泉夏は桜色に染まった指先で急いで涙を拭う。
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