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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
彼女が駅の入り口に留まったままでいる理由は、分からないけれど。
それを幸いに思っている自分がいる。
もしかしたら彼女は、まだ少しは自分を-…。
都合のいい方に解釈したがっている。
解釈して、利用しようとしている自分が-確かに、いる。
冷静に考えればそんな事、有り得ないのに。
あの夏の日、拒んだのは自分なのに。
あの夏の日、拒絶したのは他でもないこの自分なのに。
なのに、今まで。
なのに、ずっと今までなんて。
なんて自分勝手なのだろうと思う。
嗤ってしまう。
何かを期待している自分自身に嫌気が差す。
何を今更。
何を今頃、気付いているのだろう-。
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