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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
そしてこの派手な風貌。
一見怖くて躊躇してしまう程だが-中身は反して、優しい。
女の子には誰彼構わず甘く接するものだから、毎年バレンタインの季節には家の外にまで行列が出来ていた。
高校を卒業し、龍貴もまた泉夏と同じ大学に在籍していた。
家業を継ぐレールが敷かれていたのに、何故なんの関係もない学部に-答えは家から一番近いから。
それだけ。
いかにも彼らしかった。
生来の要領の良さも勿論あるのだろうけど、全く勉強もせずになんて受かりっこない。
一応難関とされている有名大だ。
二十代の若さで企業の長となり、こんな若造に務まるわけがないと風当たりも相当強かったに違いない。
絶対一年経たずに潰す-あの頃は夢の中でも言われてたなあ、本人は笑い話にしていたけれど。
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