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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
陰では人知れず、いつだって相当の努力をしてきたはずだ-現在進行形で。
それを決して見せずに、どちらかと言うと少し自分を卑下してみせるところなんかも、やっぱり只者じゃないなと思う。
再び停車する、アウディ。
泉夏の視線に鋭く気付いた龍貴は、またしても誘うような眼差しを向けてくる。
「見惚れてただろ」
「…!」
見透かされていた事に激しく動揺する、泉夏。
「り、龍なんてうちのお兄ちゃんと一緒よ。私にとっては二人目のお兄ちゃん。それ以上でもそれ以下でもない」
その言葉に偽りはなかった。
少し年が離れていることもあるが、今まで恋愛の対象として見た事はない。
それはこれからだって変わらない。
こうやってどきどきさせられるのは-実は、時々あるのだけれども。
「え、あいつと同等?」
龍貴はあからさまに顔を顰(しか)めた。
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