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桜の季節が巡っても
第9章 邂逅の春
日本を離れてから、ずっと確かめたかった想い。
まさかこの自分が-最初は俄かには信じられなかった。
そういう気持ちとは、もう随分無縁の生活を送ってきた。
もうそんな思いを誰かに対して抱(いだ)くなど-半分、本気で思っていた。
けれどその存在は、自分の中で日増しに大きくなり-それどころか、殆どを占めるようになり。
もうそうじゃない振りは出来なかった。
誤魔化しようがなかった。
信じられなかったけれど、信じる以外なくなった。
薄々気づいてはいたけれど、今日確信した。
自分は、彼女を-…。
離れ離れになる前-もっと早くにだったら、今と何かが変わっていたのだろうか。
例えばそれが、あの夏の日だったとしたら。
自分は彼女から遠く離れずに、今でも日本(ここ)に留まっていたのだろうか。
今となってはもう、今更の問いかけだけれども-。
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