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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
「あいつってさ…、一応涼お兄ちゃんのが一歳年上なんだからさ」
-形だけでも、ちょっとは敬ってあげてよ。
泉夏が願えば、龍貴は呆れたように呟いた。
「ガキの頃からの付き合いで、今更年がどうとかこうとか。何言ってんの、お前」
言い捨て。
龍貴は、時間貸しの駐車場に車を滑らせた。
いつの間にか映画館のすぐ近くまで来ていた事に、遅ればせながら気付く。
「わざわざ車停めてくれなくても、適当な場所で降りて歩いたのに」
申し訳なく言ったものの、もう入庫した後だったのでどうしようもなかった。
「…ごめん」
謝る泉夏に、しかし龍貴は全く関係ない質問をぶつけてくる。
「お前さあ、涼と俺とどっちが男として魅力あると思う?」
「はっ?」
「俺だろ」
自分自身で即答する。
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