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桜の季節が巡っても
第10章 追憶の春
物だなんて思ってないけど-珍しく少しばつが悪そうに、龍貴は笑った。
「明日、伊東君に教えてあげればいい。昨日俺にやられそうになったって」
「…言えるわけないじゃん、そんなの」
教えてあげた方がいい-見下ろされ。
さっきは恐れから確かに『分かった』と返事はしたが-実際は言えるはずはない。
「仮に喋ったとして、なんだかんだで龍を無条件にいい人だと信じ切ってる、伊東君と麻衣に軽蔑されるかもよ」
いいの?-泉夏は、ベッドの左側に腰かける龍貴を横目で見る。
彼女の視線を受けて、龍貴は表情を歪める。
「伊東君にどう思われようが、別に痛くも痒くもなんともない」
「まあ…龍はそうだろうね」
「でも麻衣ちゃんに嫌われたらちょっとやだな」
「それでもちょっとなのね…」
泉夏は嘆息する。
人並み外れた図太い神経の持ち主だったのを、改めて思い知らされる。
ほんと、羨ましいくらいだ。
「明日、伊東君に教えてあげればいい。昨日俺にやられそうになったって」
「…言えるわけないじゃん、そんなの」
教えてあげた方がいい-見下ろされ。
さっきは恐れから確かに『分かった』と返事はしたが-実際は言えるはずはない。
「仮に喋ったとして、なんだかんだで龍を無条件にいい人だと信じ切ってる、伊東君と麻衣に軽蔑されるかもよ」
いいの?-泉夏は、ベッドの左側に腰かける龍貴を横目で見る。
彼女の視線を受けて、龍貴は表情を歪める。
「伊東君にどう思われようが、別に痛くも痒くもなんともない」
「まあ…龍はそうだろうね」
「でも麻衣ちゃんに嫌われたらちょっとやだな」
「それでもちょっとなのね…」
泉夏は嘆息する。
人並み外れた図太い神経の持ち主だったのを、改めて思い知らされる。
ほんと、羨ましいくらいだ。

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