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桜の季節が巡っても
第10章 追憶の春
「でも。お前に軽蔑されたままだと嫌かな」
一度しちゃった事は、今更取り消しは効かないけれど-龍貴は真っ直ぐに泉夏を見た。
真摯に見つめられ、泉夏は気恥ずかしさを覚えてしまう。
「…謝ってくれたじゃん」
「それで許せた?」
「…許したじゃん」
「本当に?」
「…龍だから」
面と向かっては伝えられないので、目の前に置かれたテレビの黒い大きな画面を見ながら、泉夏は呟いた。
「私、龍が好き。龍を信じてる」
-だから許せない選択肢は、最初から存在しない。
自分が発した台詞なのに、恥ずかしくて堪らなくなってくる。
こんな事言って、また揚げ足取られないかな-心配したが、それはなかった。
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