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桜の季節が巡っても
第10章 追憶の春
どうしたらいいか、誰か知らないかな。
どうしたらいいか、誰か教えて欲しい。
憂いた面を上げれば、ちょうどこちらの様子を伺う彼の視線にぶつかった。
ばっちり目が合ってしまい、焦って顔を背ける。
「なんかやっぱり、すっかり嫌われちゃった感じ?」
明らかに挙動不審な泉夏に、龍貴は薄く笑った。
彼の声に少しだけ淋しさが含まれてるように感じ、泉夏の心が痛くなる。
「え、ちが…」
嫌いとかではなくて-釈明し。
再び彼に向き合おうとするのだが-どうしても直視出来ない。
今しがたの事を即、忘れろという方が無理だ。
どうしたらいいのか分からなくなってきて、なんだか哀しくなってくる。
「…泣きたい」
泉夏が放った一言に、龍貴は動揺せざるを得ない。
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