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桜の季節が巡っても
第10章 追憶の春
「…明日になったらもっと普通通りになれる」
-多分。
付け足された言葉に、龍貴は微かに笑う。
「なら、いいけど」
「逆に訊きたい。龍はなんで全然平気でいれるの」
それがまた何となく-かなり、腹が立つ。
「そうでもない」
「え?」
頭上から降ってきた彼の声に、泉夏は顔を上げた。
けれど龍貴は双眸を細めただけで-それ以上は答えなかった。
そろそろ呼びに来るだろうから、下に行こう-泉夏の身体を解放し、龍貴は立ち上がった。
「…私。明日、伊東君に言う」
龍貴の腕を離れた泉夏は決意した。
「ちゃんと伝える」
-言って終わりにする。
自らも彼に倣い腰を上げた泉夏は、スカートの裾の皺を直しつつ、そう宣言する。
突然の泉夏の固い思いに、龍貴は少し驚いた風だった。
-多分。
付け足された言葉に、龍貴は微かに笑う。
「なら、いいけど」
「逆に訊きたい。龍はなんで全然平気でいれるの」
それがまた何となく-かなり、腹が立つ。
「そうでもない」
「え?」
頭上から降ってきた彼の声に、泉夏は顔を上げた。
けれど龍貴は双眸を細めただけで-それ以上は答えなかった。
そろそろ呼びに来るだろうから、下に行こう-泉夏の身体を解放し、龍貴は立ち上がった。
「…私。明日、伊東君に言う」
龍貴の腕を離れた泉夏は決意した。
「ちゃんと伝える」
-言って終わりにする。
自らも彼に倣い腰を上げた泉夏は、スカートの裾の皺を直しつつ、そう宣言する。
突然の泉夏の固い思いに、龍貴は少し驚いた風だった。

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