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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
「去年の夏以来、そんなのしてないし。先生からだって一度もきた事ない。第一アメリカ行って、とっくに昔のスマホなんて解約してるだろうから。アドレスも変わってるだろうし…」
「俺はそんな事知らないけどさ。じゃあ待ち合わせたんでもなく、図書館でばったり逢ったとでも?」
龍貴の鼻が鳴った。
けれど泉夏は、至極真面目な顔で頷く。
第一、紛れもない事実だ。
「昨日のお昼過ぎ、図書館に勉強をしに行ったら、本当に偶然逢った。先生も驚いてた」
「さっきお前今日って言ってなかった?」
「昨日偶然逢って少しだけ話をして。…今日もしも時間があるなら、また来て欲しいって言われてたから」
-だから、行った。
泉夏は龍貴にありのままを伝える。
「運命の再会ってやつ?」
龍貴の意地の悪さを含んだ物言いに、泉夏は口を噤んだ。
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