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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
自惚れていいのか、そうじゃないのか。
結局何一つ、彼の口からは語られず、曖昧なまま。
一番肝心な部分には触れないまま、また遠くに行ってしまう。
もう-逢えない。
そう思ったら、段々腹が立ってきて。
悔しいから、今日で追いかけるのは止めようと思った。
こっちからさようならをしてやろうと思った。
今日が最後と思ったから、大胆過ぎる事も口に出来た。
もし。
もしも。
逢いたかったひとが、私で。
好きなひとが、私なら。
私を、追いかけてくればいい-そう、言ってやった。
恥も外聞もない。
もうどうせ二度と逢えないのだから、例えどう思われたって。
笑われたって。
もうどうせ二度と逢わないのだから、なんともない。
言い捨てて来てやった。
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