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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
確かに一年目の冬からもう逢っていなかったら、いくらこの自分でも新しい恋のひとつやふたつしていただろう。
中途半端に再会してしまうからいけなかった。
でもそれも、今日で終わりだ。
もう、追いかけない。
もう、逢えない-…。
「どうせお前の事だ。昨日今日で、また頭の中は有栖川先生の事でいっぱいなんだろ」
彼自身の家を通り過ぎた辺りで、龍貴にからかわれる。
「…うるさい」
軽く、頬を膨らます。
最近どうも、口調が乱暴になってしまう-特に彼には。
図星を指摘される事が多く-いけないと思いつつも悔しさのあまりつい、喋ってしまう。
ただ普通に会話しただけでは、到底彼には勝てないので余計にだ。
お前最近生意気になったよな-龍貴が苦笑する。
まあ、そこで決して怒りはしないのが彼なのだけど。
その点は正直、凄く助かっているのだが。
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