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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
基本女に腹は立たないけど-前置きしつつ、龍貴は泉夏に向けて放った。
「必要以上に度が過ぎると、また口を塞がれるくらいの事はされるかもしれないから気を付けな」
例により非常に妖しげな微笑みを纏い、彼女を見る。
夜の闇が更に彼の魅力を引き立て、泉夏は瞬時に魅入られてしまう。
やばい-まるであの時と同じ展開になりそうで、慌てて視線を逸らす。
「…次からは言葉遣いに気を付けます」
一応、謝罪しておく。
「だといいけど」
龍貴は片頬だけで笑う。
泉夏は胸を撫で下ろす。
もう一度だなんて。
もう一度だなんて絶対、出来ない。
あの時はつくづくどうかしてたと思う。
でなければなんで。
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