この作品は18歳未満閲覧禁止です
桜の季節が巡っても
第1章 心恋の春
こんなに時間をかけて綺麗にしてきたのに、普段からあまり好んでいない物を身に付けたくはない-そんな乙女心。
その時。
見渡す限り一面桜色の絨毯の上。
泉夏の目線のほんの先で、何かが光った-気がした。
私ってば、持ってる女?
そっと、右手を伸ばす。
ざあ…っ…
彼女を取り囲んでいた全ての桜の木が大きく、揺れた。
それまでざわざわとしていた、キャンパス内の喧騒が一瞬掻き消されるくらいの、突風-。
「…!」
咄嗟に顔を背け、瞳を閉じる。