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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
コンビニの駐車場に停めたままの車内は、沈黙が続いていた。
あのさ-龍貴は、今日何度目か知れない溜め息を漏らす。
「今更じゃない?またそんな風にしたって」
車に乗り込んだ時同様、左の窓際にぴったりと身体を張り付けてる泉夏を横目に、龍貴は煙草を咥えた。
運転席側の窓を少し開け、咥えたセブンスターに火を点ける。
「だからなんにもしないって」
白煙を僅かに開けた窓から外に逃がし、呆れたように龍貴は言った。
その言葉に、泉夏は即座に反応した。
「嘘つき!」
「はっ?」
「しないって言ったのに、早速したじゃん!」
だから、ふたりきりにはなりたくなかった。
こうなる予感はした。
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