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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
泉夏は言葉に詰まる。
痛いところを突かれ、ぐうの音も出ない。
嫌なら。
それじゃあ、嫌じゃなかったら?
嫌じゃない?
嫌じゃないって、どういう事?
そんなの-泉夏は運転席に座る龍貴をそっと、盗み見する。
視線に気付いてなさそうなのを幸いに、悠々と紫煙をくゆらせる横顔をまじまじと観察する。
まさか。
まさか、そうなの-?
思い悩んでいると、いつの間にかこちらを見ていた彼の瞳とぶつかる。
泉夏はびっくりして思わず肩を竦めた。
そんな彼女を更に惑わすように、龍貴は笑った。
「全然、嫌がってるように見えないんだけど?」
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