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桜の季節が巡っても
第11章 逡巡の春
「だから、そういう表情(かお)で私を見ないでって…!」
混乱する気持ちをなんとか静めたいのに、全然治まってくれない。
どんどん波風が強くなってきて。
ざわざわとちっとも落ち着かない心。
酷く腹が立って仕方がない-誰に?
彼に?
私に?
「なんでいきなり好きとか言い出すの?なんでいきなり、こんな事…。こういう好きじゃないって前から言ってたじゃない。なのに、なんで。いつから…」
先生の事でいつだって、いっぱいいっぱいで。
なのに突然、そこに割り込んできて。
ふたりも一遍になんか考えられる程、器用じゃない。
なのに-。
「だから黙ってたじゃん」
昂ぶる泉夏とは対照的に、龍貴は至って冷静に口を開いた。
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