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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
「で?」
「で?」
「で、何かお前は俺に言う事があるんじゃないの?」
「い、言う事って…」
泉夏の心拍数が一気に跳ね上がる。
「…別に?朝色々話したばっかじゃん。寧ろ話し尽くして、もう話題がないってゆうか?」
街の灯りに視線を逸らし。
泉夏は長い髪を掬い、右耳にかけた。
「あのさあ。今お前がここにいるのは、俺が電話で呼び出した理由を知ってるからだよな」
龍貴の鋭いそれに、泉夏は言葉に詰まる。
「納得いく答えをもらえない限り、絶対今夜は帰さないのも知ってるよな」
龍貴の眉目秀麗な面が、街灯に照らされる。
脅しか。
冗談か。
本気なのか-判断はつかなかったが、その瞳は妖しく光っていた。
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