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桜の季節が巡っても
第12章 希求の春
「言える?」
「…分かった」
乾いた声でどうにか返事をする頃には、元通りの穏やかな彼に戻っていたけれど。
「デートに誘っちゃっただけでなく、愛の告白も、更にはキスまでしちゃったけど。有栖川先生には全部内緒にしといてよ」
-俺、殺されたくないし?
笑う龍貴に、泉夏は小さく頷く。
「今日のデートの続きが、今度会った時に出来ればいいけど」
龍貴の手が、泉夏の髪をそっと、撫でた。
「出来るよ…?」
どうしてそんな事を言うの-泉夏は目の前の彼を訝しげ気に見た。
だと、いいけど-言って、龍貴はもう一度微笑んだ。
そこに僅かな哀愁が含まれていた事に、泉夏は気付けなかった。





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