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桜の季節が巡っても
第12章 希求の春
慣れる事は遂になかった。
胸を締め付けられていると、秀王が口を開いた。
「記憶が正しければ、スカートを履いている姿しか見た事がなかったから。…とても、珍しいと思って」
「あ…」
言われ、今日の自分自身の服装に思い当たる。
「…今日は麻衣達とバーベキューに…出かける予定が入っていたから」
-動きやすいように、ジーンズ姿だった。
龍貴は必要以上に勘ぐっていたけれど、別に警戒していたわけではない。
彼は『二度と』と言った事は、必ず守る-信じてる。
泉夏の言葉に、秀王は頷いた。
「用事があったのに良かったの?途中で切り上げて来てくれた?」
優し過ぎる物言いに、泉夏の心が痛みを帯びる。
「…予定より早く終わったから。それで」
後が続かない。
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