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桜の季節が巡っても
第12章 希求の春
秀王は泉夏を抱き寄せ、囁いた。
「泉夏…」
泉夏はその声をかつてないくらい間近に受け、酔い痴れる。
「…先生」
「泉夏」
互いを呼び合う。
そして、秀王は伝えた。
「泉夏。俺は…泉夏が好きだ」
伝えないつもりだった。
この想いは、口にしないつもりだった-永遠に。
彼女への気持ちは、自分ひとりの心の中だけに残そうと思ってた。
第一、追いかけて行く事も見事に拒否され、もう伝える手段さえなかった。
未練がましく帰って来てしまったものの、途方に暮れていた。
それなのに。
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