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桜の季節が巡っても
第12章 希求の春
「そろそろ、帰った方がいい」
この前逢った時も、確かこうして彼女を促した気がする。
あの時も、これが最後と送り出そうとしてた。
なんだかんだで『これが最後』が最後じゃなくなり、いつの間にか三年も経ってしまったけれど。
でももうこれ以上、彼女の人生に入り込んだままではならない。
ただでさえ今までだって、散々彼女の心に深く侵入したままで。
彼女の不安を煽り、哀しませ続けてきたのに。
彼女を想うなら彼女を解放し、楽にしてあげなければ。
彼女を想うからこそ-。
驚きを隠せない泉夏に、秀王は囁いた。
「龍貴が待ってる」
その名を出され、泉夏は思い出す。
『さよならして来てよ』-彼の台詞が甦る。
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