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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
「泉夏」
龍貴は彼女を呼んだ。
「有栖川先生も最後だって覚悟して来てたのなら、愛の告白のひとつぐらいしてくれた?」
龍貴の意地悪な視線に、泉夏の頬は正直過ぎるくらいに赤く染まる。
増々悪い笑みで、龍貴は追及する。
「で?お前はなんて答えたの。三年間片想いした相手から好きだと言われて、さぞ嬉しかったんじゃないの。それがなんで、結局さよならして来たの?まさか俺がそうしろって言ったからじゃないよな?」
「違う」
きっぱりと、泉夏は言った。
「龍は関係ない。私が…私の意思でさよならして来た」
龍貴は無言で泉夏を見返す。
「だってどんなに好きでも…好きだと言ってくれても、側にはいてくれない。もうそういうの、疲れたし…」
言いながら、胸が痛み始める。
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