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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
「先生が好きなら、自分の気持ちに正直になればいいじゃん。あんなに好きで、いつも泣いて、いつだって追いかけてきたじゃん。その先生がやっと、お前を好きだと言ってくれたのに。俺の事を気にしてる場合じゃないだろ。何やってんだよ」
「違う…!」
叫び、泉夏は龍貴を見た。
涙が出そう。
でも自分に、泣く資格はない。
全然、ない。
だから、必死に堪える。
「…私は」
龍貴から決して目を離さずに、泉夏は震える言を紡ぐ。
「私は、龍が好きだよ。昔からずっと。いつだって優しくて、側にいてくれて。先生がいなくなって落ち込んでいた時だって、一番に私を慰めてくれた。龍がいなかったら私、どうしていたか分からない。今までずっとお兄ちゃんみたいな存在で。…でも龍が私を好きだと言ってくれて、私も段々と気持ちが変化してきて」
泉夏は、着用したままだったシートベルトを外した。
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