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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
「やっぱり、どんなに頑張ったって、妹ぐらいにしかなれないよね…」
眉間に皺をよせる泉夏に、龍貴は言葉を荒げた。
「馬鹿。たった十の年の差なんてどうって事ないだろ。どうでもいい事でいちいち悩むなよ」
「私にとっての十歳は大きいよ。まだ二十歳(はたち)にもならない自分と、もう立派に仕事して自立しているおとな…まだまだ子供だよ」
-俺なら。
龍貴は泉夏を遮った。
「お前が愛の告白をしてくれるなら、二つ返事でOKするけどな」
ふたりの顔が、近づく。
泉夏の息を呑む音が薄暗い車内に響いた。
「龍…?」
恐々と、泉夏は龍貴を呼んだ。
いつもの彼とは何かが違う。
「でも全然気付かなかったな…お前が俺の事、そんなに泣く程好きだったなんて」
「えっ」
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