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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
向かい合う形で立っていた秀王だけが知っていた-泉夏の瞳に浮かぶ涙を。
急いで、彼女の背後にいる龍貴を見る。
目が合うと、いつも通りに笑う彼の顔があった。
「初めが肝心だ。泣き始めに、すぐに宥めすかした方がいい。放っておくと結構大変な事になる」
「…知ってる」
「なの?」
秀王の呟きに、龍貴はちょっと意外そうに訊き返した。
「でもこれからはもう泣かすなよ、秀王」
言い残し。
龍貴は静かにドアを閉めた。





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