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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
だから。
なんでもない。
彼の言う通りにするのが一番いい。
彼が言う事で今まで間違ってた事なんて一度も。
彼にとっても。
自分にとっても。
絶対に泣かない。
斜め下に視線を落としそれきり口を噤む泉夏に、秀王はかけるべき言葉が見当たらない。
彼がどんなに彼女を大事に想ってきたか-先程の短いやり取りを見ていただけで、十分伝わってきた。
それなのに。
昼間に続いて二度までも、連れて来てくれた。
彼女を二度も、自分の元へ。
帰したまま、そのまま側に置いていれば良かったのに。
返したまま、そのまま掴まえておけば良かったのに。
そうしたら今頃、彼女と一緒にいれたのは自分ではなく彼の方だったのに。
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