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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
あんな傲慢な態度で。
あんな高慢な口調で。
わざと自分を挑発して。
一番大切なものを、残していってくれた。
彼ならこんな自分からなんて、簡単に攫っていけただろうに。
繋いだ手を、そのままでいれさえすれば良かった。
なのにその絡めた指先を、離してくれた-。
一生頭が上がらない-思っていたところに、声が届いた。
「…先生」
彼女が真摯な眼差しで、こちらを見ていた。
いつの間にか見詰められていて、秀王はとても平静でおれない。
どんなに悪い事をしたと。
どんなに申し訳なかったと思っているとしても。
一瞬で切なさの渦に放りこまれる。
彼女だけは渡せない。
渡さない。
欲しいとの願いを聞き入れてくれたものは、もう手放せない。
決して、手放さない-。
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