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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
「先生、私の事…好きなの?」
言い淀みながら-でもはっきりと、正面に立つ彼に泉夏は訊いた。
その問いに、秀王は絶句した。
たった数時間前に、自分は彼女に伝えたはずだった。
意を決して、確かに自分は彼女に言った。
なのにこの問い掛けは?
自分は夢の中にいたのだろうか?
「…好きだよ?」
愚答だ。
「本当に?」
愚問だ。
公園で抱いた時は我を忘れて。
でも今は違う。
明確に。
はっきりとした意識の下(もと)。
今日二度目の彼女に触れたいと。
言った事を、さも言っていないような口ぶりで繰り返し訊く彼女に、軽い苛立ちさえ覚えながら。
少し前までには考えられない強引さで、秀王は泉夏の華奢な身体を自らに抱き寄せた。
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