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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
泉夏の微かな声は、彼を否応なく昂ぶらせる。
もうこれ以上ないくらい近く、彼女を感じているのに。
更にもっとと、願ってしまう。
知らぬ間に恐ろしく貪欲になっている自分。
そんな自身をどうにか宥め、秀王は彼女の名を呼んだ。
「泉夏」
もう二度と、その名を口にする事は適わないと思ってた。
もう二度と、この身体に触れる事は許されないと思っていた。
それが覆るなんて。
そんな事があるなんて。
やはり夢の中にいるのだろうか?
幸せな夢の中にいるだけなのだろうか?
「泉夏が好きだと、俺は言ったはずだけど。もう…忘れてしまった?」
嗤われ。
詰られ。
今更こんな想いは迷惑なだけだと、突き返されるのを覚悟で告げた。
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