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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
それは-秀王は何かを言いかけたが、泉夏に遮られた。
「私…先生にも一言文句が言いたくてっ」
彼に抱(いだ)かれるままだった泉夏は、突如豹変し。
秀王の腕を擦り抜け、距離を置いた場所に移動した。
腕の中からいきなりいなくなってしまった彼女に驚き、秀王は彼女の元に歩み寄ろうとする。
しかしそれもまた、泉夏の大声に制される。
「龍にも言ったけどっ。ふたりとも思わせ振りな事はするくせに、肝心な事は何も伝えてこない。はっきり言ってくれないと分からないじゃん。私ひとりでずっと悩んで。悩ませて」
どれだけ、不安だったか。
どれだけ、思い悩んでいたか。
「私をどうしたくて…どう想ってて、ずうっと放っていたの。私を好きだと言うなら、それこそおかしい。好きなら、すぐに伝えたいと思うんじゃないの。好きなら、側にいたいと思うんじゃないの。…なのに、先生はこの間だって、とうとうはっきり言ってくれなかった。言わずにまた、私の側からいなくなった」
その時の事が甦り、泉夏は唇を噛み締める。
「私…先生にも一言文句が言いたくてっ」
彼に抱(いだ)かれるままだった泉夏は、突如豹変し。
秀王の腕を擦り抜け、距離を置いた場所に移動した。
腕の中からいきなりいなくなってしまった彼女に驚き、秀王は彼女の元に歩み寄ろうとする。
しかしそれもまた、泉夏の大声に制される。
「龍にも言ったけどっ。ふたりとも思わせ振りな事はするくせに、肝心な事は何も伝えてこない。はっきり言ってくれないと分からないじゃん。私ひとりでずっと悩んで。悩ませて」
どれだけ、不安だったか。
どれだけ、思い悩んでいたか。
「私をどうしたくて…どう想ってて、ずうっと放っていたの。私を好きだと言うなら、それこそおかしい。好きなら、すぐに伝えたいと思うんじゃないの。好きなら、側にいたいと思うんじゃないの。…なのに、先生はこの間だって、とうとうはっきり言ってくれなかった。言わずにまた、私の側からいなくなった」
その時の事が甦り、泉夏は唇を噛み締める。

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