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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
「…やっぱ龍はうちのお兄ちゃんよりも全然かっこいい」
「だからあいつと比べるなって。比べようがないんだから」
「お兄ちゃんだけじゃなく、多分、龍に敵う男の人はそういない気がする」
「だから常々そう言ってるだろ」
足元に置かれた携帯用の灰皿に灰を落としつつ、龍貴は自信たっぷりの笑みで泉夏を見遣る。
だから俺にしとけば?-龍貴は続けた。
「俺の事じゃないなとは思った。けど万が一、もしもお前が俺を好きだったとして、きちんと気持ちに応えようと思ってはいたよ。まあ俺も、お前の事はずっと妹みたいに考えてきたけどさ、好意を持たれると誰でも多少は意識するようになるじゃん、その相手の事。そういう好きな気持ちに、そのうち変わるかもしれないって思った。酒と煙草だけは一生やめられないけど、俺は女をそんな風に泣かせたりは絶対しない」
泉夏は無言で微笑み、頷いた。
口だけじゃなく、龍貴はきっと、そうするだろう。
龍貴を好きになっていたのなら、良かったのかもしれない。
でも-。
「だからあいつと比べるなって。比べようがないんだから」
「お兄ちゃんだけじゃなく、多分、龍に敵う男の人はそういない気がする」
「だから常々そう言ってるだろ」
足元に置かれた携帯用の灰皿に灰を落としつつ、龍貴は自信たっぷりの笑みで泉夏を見遣る。
だから俺にしとけば?-龍貴は続けた。
「俺の事じゃないなとは思った。けど万が一、もしもお前が俺を好きだったとして、きちんと気持ちに応えようと思ってはいたよ。まあ俺も、お前の事はずっと妹みたいに考えてきたけどさ、好意を持たれると誰でも多少は意識するようになるじゃん、その相手の事。そういう好きな気持ちに、そのうち変わるかもしれないって思った。酒と煙草だけは一生やめられないけど、俺は女をそんな風に泣かせたりは絶対しない」
泉夏は無言で微笑み、頷いた。
口だけじゃなく、龍貴はきっと、そうするだろう。
龍貴を好きになっていたのなら、良かったのかもしれない。
でも-。

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