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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
たわいもない話をしつつ、車道側をゆっくり歩く秀王の横顔を泉夏は見る。
自動車のライトや飲食店の灯りに時折照らされる彼の顔は、夜でも変わりなく秀麗だった。
それどころか、深い夜の闇は整った面を更に引き立てているようでもあった。
暫し見惚れていると、視線に気付いた秀王がこちらを向いた。
目線が合うと、微笑まれた。
「何?」
問われ、泉夏は焦ってしまう。
「気のせいじゃなければ、さっきから何度かこっちを見てたから。何か言いたい事でもあるのかなって」
「…気付いてた?」
「気付いてた」
笑い。
秀王は正面に顔を戻した。
言おうか言うまいか-悩んでいたけれど、泉夏は意を決して口を開く。
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