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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
大したことじゃないのに、いちいち全てが堪らなく幸福に満ちている。
手を繋ぎ。
あなたに身を寄せ、一緒に歩く。
ただ、それだけなのに。
「…先生とふたりでどこかへ行くの、初めてだね」
「…うん」
「緊張してご飯、喉通らないかも」
「まさか」
「こんなに長い時間、一緒にいれるのも初めて」
「確かに」
「手を繋ぐのも。今日は…初めてがいっぱい」
「うん」
「今まできっと無理だと諦めていた事ばっかり。それが今日一遍に全部叶って、怖いくらい」
その答えはもらえなかったが-恋人繋ぎした手を、力を籠めて握り返された。
嬉しさで胸がいっぱいになる。
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