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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
「大学始まったら絶対してく!」
「このキャップの部分可愛いよね~!実は私も色違いで買ったんだ」
きゃあきゃあと。
ひとしきり女子話を咲かせたところで、麻衣がにやにやしながら訊いてくる。
「これで先生と一つ、年が近くなったね」
「…だったらいいな」
親友がプレゼントしてくれたネイルのきらきらを見つめながら、泉夏は呟いた。
「九つ違いになったのなら、嬉しいな。先生に少しだけでも近付けた。…実際はどうだか分からないけどね」
ちょっとだけ、淋しくなってしまう。
笑ってはみるものの、口角は僅かしか上がってくれない。
今日までに彼がまだ誕生日を迎えていないのなら、年の差は九歳。
誕生日が過ぎていたのなら、十歳違いのまま。
永遠にその差は埋まらない。
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