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桜の季節が巡っても
第2章 了見の夏
一日だけ。
一歳だけ。
それだけでいい。
彼を近くに感じたい。
思ってるのに。
実際にはそれを確かめる術すらない-。
「先生に質問したところで、絶対に教えてくれないよね」
「誕生日は先生の敬遠するプライベートな質問、だもんねぇ」
頬杖をつき、麻衣は目の前の何もない空間を睨む。
「正直。頭固いよね、有栖川先生」
泉夏は苦笑する。
「何かってと、すぐプライベートはとか、セクハラがとか。そんな警戒しなくても、先生が思っているほど、誰も私達の会話なんか聞いちゃいないよね、絶対」
「とは思うけどね。でも、先生の言う事も分かるし…仕方ないよ」
「う~ん。まあ、そうかもだけどさあ」
麻衣は納得がいかない顔だ。
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