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桜の季節が巡っても
第13章 相愛の春
「泉夏」
呼ばれ。
泣きたい気持ちを我慢して、泉夏は隣りの彼を見た。
「日本に戻って来ようと思ってると言ったら…泉夏は喜んでくれる?」
「え…?」
思考が追いつかない。
今、なんて言ったの-?
不審そうな目で見れば、微笑み返された。
「向こうでの仕事があるから、いきなりは無理だけど。一年とかは、きっと難しいけど。…でももし、泉夏がそれを望んでくれるのなら、戻って来たいと思ってる」
「…でも、だって」
突然の事に、戸惑うしかない。
「一年後に戻って来てすぐに別れを切り出されたりしたら…それは流石に相当落ち込んでしまうけど。正直、帰って来た意味がなくなってしまうけど。将来の事は勿論誰にも分からないけれど。…でも今の気持ちで、一年後も変わらず俺の事を好きでいてくれるのなら。日本に帰って来たい」
見つめられ、泉夏の眉が寄る。
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