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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
まだ半乾き状態ではあったが、とりあえず髪を乾かし終わり、彼の隣りに再度遠慮がちに座る。
それを見計らって、ひとこと告げられた。
「そろそろ寝る?」
『寝る』という単語の響きに、泉夏の心臓は一気に跳ね上がった。
その言葉の連想させるものが、彼女を緊張と不安の渦に瞬時に放り込む。
「寝るって…そんなの…っ」
頬に朱を刷く泉夏だったが、横に腰を下ろす彼にすぐさま否定された。
「別に変な意味で言ったんじゃない」
「し、知ってるし…!」
あまりの恥ずかしさに、言い返す声の大きさも半端ではない。
「変な意味でなんか思ってないしっ?先生こそ、変な事言わないでっ」
ベッドに並んで座っていた彼を、八つ当たり気味に睨んでやる。
その形相に、秀王は苦笑いした。
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