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桜の季節が巡っても
第14章 朧夜の春
シャワーを浴びる際も気にはなったが-それとは比にならぬほど突如思いっきり、彼を意識してしまう。
『朝まで』-彼は自分と何をするつもりだった?
朝までずっと、語り明かすつもりだった?
しかし、明日また長時間かけて向こうに行かなければならないし、それは非現実的に思えた。
朝までずっと起きていて欲しい-彼が自分にそんな事を言うはずもないと思った。
優しい彼なら自分を気遣い『休んだ方がいい』と言うに決まっていた。
そしてそれはその言葉通りの、深い意味などない『寝た方がいい』。
朝まで自分を抱き締めて、一緒に寝てくれるつもりだったのかな-勝手な想像だけど。
でも多分、限りなく正しいとも思う。
その確認の発言に過ぎないと分かってる。
分かっているけど、どきどきしてしまうのは仕方がなかった。
何をしても。
何をしなくとも。
今夜は正真正銘、彼とふたりで過ごす初めての夜なのだから-。
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